XYテーブル製作シリーズ 第11回・完結編
はじめに:シリーズのまとめと「機械構造」の話
これまでのシリーズで、PythonとRaspberry Piを使ってXYテーブルを制御するソフトウェアを作ってきました。実装した機能は、ステッピングモーター制御・mm単位の移動・加減速制御・XY同時制御・原点復帰・リミットスイッチ・GUI操作・片道移動・往復サイクルです。
今回は完結編として、XYテーブルの全体構成、実際に作るときのポイント、そして設計資料(図面・BOM)を紹介します。
この記事で分かること
- 完成した自作XYテーブルの全体構成(Raspberry Pi → A4988 → ステッピングモーター → ベルト駆動)
- 電子回路より悩ましい「機械構造」(ガイドレール・プーリー・アイドラー・板金フレーム)の話
- 機械部分をゼロから設計せずに作れる設計資料(3D組立図・結線図・板金図面DXF/STEP・BOM)
- GitHubで配布する完成版Pythonコード
電子回路より悩ましい「機械構造」
電子回路はモーター・ドライバー・電源があれば動きます。しかし実際にXYテーブルを作ると、もう一つ大きな問題があります。それが機械構造です。
- ガイドレール / プーリー / アイドラー / タイミングベルト / 板金フレーム
- どのサイズを使うのか、どの位置に配置するのか
- ガイドレールは何mm? プーリーの位置は? モーターの固定方法は?
ここで悩む人が多いため、このシリーズで使用したXYテーブルの設計資料をまとめました。
設計資料の内容
この資料があれば、ガイドレールのサイズ・プーリーの配置・モーターの固定方法・フレーム構造が分かり、機械部分をゼロから設計しなくても作れるようになります。電子回路はこのブログ記事、機械設計は設計資料、という形です。
設計資料と完成版Pythonコード
設計資料は note で公開しています。XYテーブルを実際に作ってみたい方は参考にしてください。
📐 設計資料(note) 【DXF / STEP付き】250×250 板金XYテーブル図面セット タイミングベルト駆動 / 3D組立図 / BOM / 結線図付き。 → 💻 完成版Pythonコード(GitHub) xy_table_final_20260314.py これまでのコードを整理した完成版。 →シリーズまとめ
| 回 | 内容 |
|---|---|
| 第0回 | Raspberry Pi OSインストール |
| 第1回 | GPIOの基本(Lチカ) |
| 第2回 | ステッピングモーター制御(A4988) |
| 第3回 | mm単位の移動 |
| 第4回 | XYテーブル化(2軸) |
| 第5回 | 加減速制御 |
| 第6回 | 2軸同時制御(threading) |
| 第7回 | 原点復帰(Homing) |
| 第8回 | GUI操作(Tkinter) |
| 第9回 | 位置管理・ソフトリミット |
| 第10回 | 単軸・片道・安全終了 |
| 第11回 | 完成構成・設計資料(この記事) |
ソフトウェアはこのシリーズを順番に進めれば再現できます。実際の装置は機械構造も重要なので、設計資料も参考にしてください。自動検査装置・簡易CNC・位置決め装置などの応用にも使えます。
関連記事
🗺️ 全体像 自作XYテーブルの全手順ロードマップ|Raspberry Pi+ステッピングモーターで2軸制御 第0回〜第11回の全工程をまとめたロードマップ。 → 🔧 CNCシリーズ ゼロから自作するCNCの全手順ロードマップ|Arduino・GRBL・CNCjsでレーザー刻印機を作る 同じXYテーブルをArduino+GRBLでCNC化した派生シリーズ。 →よくある質問(FAQ)
Q機械部品(板金・ガイドレール)は個人でも入手できますか?
Aできます。板金部品はミスミの meviy などのオンライン板金サービスでSTEP/DXFデータをアップロードすれば1点から発注できます。ガイドレール・プーリー・ベルトはミスミ・Amazon・モノタロウ等で一般流通品が買えます。BOMに型番と参考購入先をまとめています。
Q設計資料のSTEP/DXFはどのソフトで開けますか?
ASTEPは Fusion 360・FreeCAD・SolidWorks など主要3DCADで開けます。DXFは AutoCAD のほか、無料の LibreCAD や板金加工業者の入稿システムでそのまま使えます。PDF図面は寸法確認・印刷用です。
Q完成版コードはそのまま自分の機体で動きますか?
AGPIOピン配置・step/mm(プーリー歯数・マイクロステップ)・ソフトリミットの範囲は機体ごとに違うため、コード冒頭の定数を自分の構成に合わせて書き換えます。配線と定数さえ合えば、GUIからの操作はそのまま動きます。
QこのXYテーブルはCNC(切削・レーザー)に使えますか?
Aそのままでは位置決めステージ用です。CNC化するにはArduino+GRBLに載せ替えてGコードで制御する構成が一般的で、当ブログの「自作CNCシリーズ」で解説しています。剛性・スピンドル/レーザーの追加も必要です。
XYテーブル製作シリーズ(全12回)
- Raspberry Pi ImagerでのOSインストール手順|microSD書き込みから初期設定まで
- ラズパイでLチカ|PythonとRPi.GPIOでLEDを点灯・点滅させる方法
- ラズパイでステッピングモーターを回す方法|A4988の配線とPython制御・Vref調整
- ステッピングモーターをmm単位で動かす計算式とPython実装|step/mmの求め方
- PythonでX軸・Y軸のステッピングモーターを2軸制御する方法|A4988ドライバー2台
- ステッピングモーターの脱調を防ぐ加減速制御(台形駆動)をPythonで実装する方法
- Raspberry PiでXYテーブルを2軸同時制御|Pythonのthreadingでステッピングモーターを同時に動かす
- Raspberry Pi+PythonでXYテーブルの原点復帰(Homing)を実装|リミットスイッチ・バックオフ処理
- PythonのTkinterでXYテーブルをGUI操作する|移動量入力・XY同時実行・緊急停止ボタン
- PythonのGUIが固まる理由とThreadの使い方|Tkinterでモーター制御中もボタンを効かせる
- XYテーブルGUIに原点復帰・現在位置表示・ソフトリミットを実装|Queueでスレッド安全にGUI更新
- XYテーブル制御GUIに単軸動作・片道移動・安全なプログラム終了を実装
- 自作XYテーブルの完成構成と設計資料(図面・BOM・結線図)|完成版Pythonコード配布(この記事)
補足記事
⚡ 第1.5回・補足 A4988の電流制限(Vref)調整方法|焼損を防ぐ計算式とテスターでの設定手順 モーターを回す前に必ずやる A4988 の電流調整。 → 🔀 番外編 L6470が動かない原因|A4988との違いとSPI通信・デイジーチェーンの罠 高機能ドライバ L6470 を A4988 と同じ感覚で使ってハマった話。 → 🗺️ 全体像 自作XYテーブルの全手順ロードマップ|Raspberry Pi+ステッピングモーターで2軸制御 第0回〜第11回の全工程をまとめたロードマップ。 →Follow me on X
本ブログの中の人「ニンジン🥕」はXやってます。新着記事はいち早くポストでお知らせしているので、見逃したくない方は @ninjin_py_vba をフォローしてみてください🥕
@ninjin_py_vba をフォローシリーズ記事一覧
電子工作・自動化ツールの製作記録をシリーズごとにまとめています。気になるテーマからお読みください。
-
FILE.01 — IoT
Raspberry Pi Pico W × GASラズパイPico W×GASで自作!「LINEで動く温湿度&スマートリモコン」完全ロードマップ
「外出中のペットの室温が心配…」そんな思いからスタートしたIoT自作プロジェクトの総集編。温湿度監視からエアコン遠隔操作まで、仕組みをゼロから作りたい方のための全5回の開発記録です。
シリーズを読む -
FILE.02 — CNC
Arduino × レーザー刻印CNCCNC自作シリーズ
高精度な加工を目指し、本格的な自作CNC製作に挑戦中。現在は基幹パーツであるオリエンタルモーターの納品を待つ「設計・準備編」を公開。ハードとソフトの両面から、理想のマシンを形にする過程をリアルタイムにお届けします。
シリーズを読む -
FILE.03 — XY軸制御
Raspberry Pi × ステッピングモーターXYテーブルシリーズ
Raspberry Piとステッパモーターを使い、ゼロから2軸制御に挑む記録。OS設定から回路設計、多軸制御のPythonコードまで、躓きやすいポイントを徹底図解。電子工作初心者が「動く感動」を味わうための実戦ガイドです。
シリーズを読む -
FILE.04 — 業務自動化
Python × Excel × CustomTkinter【Python開発記】NINJIN Mail制作記
PythonとExcelを連携させ、実務で即戦力となるメール送信ツールを開発。CustomTkinterによるUI構築や、ミスを防ぐテンプレート活用術など、現場の「痒い所に手が届く」自動化ノウハウを細部まで丁寧に解説します。
シリーズを読む -
FILE.05 — 業務自動化
Python × Excel × GUIアプリ化Invoice Maker(請求書・見積書自動作成)
手作業の請求書作成から卒業!PythonでExcelデータを読み込み一括PDF化する「Invoice_Maker」の作り方を全3回で解説。基本ロジックからGUIアプリ化まで、実務で役立つ自動化ノウハウが満載です。
シリーズを読む







コメント